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弾性率測定(ヤング率・剛性率・ポアソン比)


弾性定数(ヤング率、剛性率、ポアソン比)とは、構造物の強度設計をする際に欠かせない値で、多種多様な材質、形状、温度での測定が必要とされています。
当社では、それらのお客様の要望にお答えするべく、金属やセラミックスのJISに基づいた各種の測定装置で測定を行なっています。

測定法は
 ・ 静的試験法
 ・ 横振動法
 ・ 超音波法
の3種類の測定が可能です。

弾性率測定に関するJIS規格は、JIS Z 2280(金属材料のヤング率)、JIS R 1602(セラミックの室温の弾性定数)、JIS R 1605(セラミックの高温の弾性定数)があります。

※当社にて行った超音波法による弾性係数測定の結果が紹介されています。
  「日本マリンエンジニアリング学会誌」 第49巻(2014) 第4号
  鈴木克典:“2013年におけるマリンエンジニアリング技術の進歩”より
  pp.34-35 PDF


静的試験法(曲げ試験)
図1に示すような両端支持の板状試料(d×b×Lo)の中央部に荷重(P N)をかけたときに生じたたわみ(ho)を差動トランスにて検出し、ヤング率E(N/m2)を(1)式から算出します。

    …(1)


図1 ヤング率の静的測定


横振動法
横振動法は動的測定法の1つで、薄板状試料片に周波数1 kHz前後で電磁的に共鳴振動を生じさせ(図2参照)共鳴振動数を求め、(2)式からヤング率を算出します。

      …(2)

ここでL、b、d、gは試料片の長さ、幅、厚さ、質量、λは共振周波数(Hz)です。

当社では、板状試料の高温測定で300℃までは両端自由の自由共振法でヤング率を求める自作の装置を使用して測定を行います。

図2 電磁的方法



片持ち共振法
さらに高温の1200℃までのヤング率、剛性率、ポアソン比は高温測定装置(日本テクノプラス社製,EG-HT型)で同時に測定しております。


測定装置 測定温度範囲 測定雰囲気
横振動法アグネ製ヤング率測定装置 ARC-Y2型 −40〜100℃ 大気中
横振動法日本テクノプラス社製 常温弾性率測定装置 JE-RT JG-RT室温 不活性ガス中(Ar)
横振動法日本テクノプラス社製 高温弾性率測定装置 JE-HT 室温〜550℃ 不活性ガス中(Ar)
片持ち共振法日本テクノプラス社製 高温弾性率測定装置 EG-HT 室温〜1200℃ 不活性ガス中(Ar)



超音波法(パルスエコーオーバーラップ法)
固体中に伝わる超音波(横波と縦波)の伝わる速度がわかると、縦波音速と横波音速から縦弾性定数とポアソン比、横波音速から横弾性定数が求められます。

JISで定められている他の測定法では縦弾性係数しか求められないのに対し、超音波法では縦および横弾性定数、ポアソン比が得られるのが優位な点です。

この測定は高温測定の場合、試料に接着されたバッファーロッド(SUS304などの材料)を通して縦波音速および横波音速を伝播させるので、特に横波音速は容易な試験ではありませんが、長年培ったノウハウにより広い温度範囲にわたって正確な弾性定数を提供することが可能です。

【測定原理】
図3の配置に示すような基本構成で、平行平面をもつ試料(16 oφ×10 o厚さが標準)の一面から超音波パルスを入射し、試料の両端面を多重反射させて超音波エコーを発生させます。
これをセンサーで受け、パルスエコー間の時間間隔と試料両面間の距離から超音波の音速、縦波の速度VIと横波の速度VSを求め、(5)式からヤング率E,剛性率G,ポアソン比νを算出します。

      …(3)

      …(4)

      …(5)

測定装置にはRITEC社製RAM5000型音速測定装置を使用し、その装置で高温測定が可能な冶具を考案、さらにバッファーロッドと試料間を横波が完全に伝播できるような接着法を開発し、1000℃以上の測定も可能としました。


図3 パルスエコーオーバーラップ法の基本構成

これらの測定技術を駆使して、ガスタービン動翼材など異方性材料の高温弾性定数の測定も行っています。

 
マテック社製超音波音速測定装置 MBS8000型

測定装置 測定温度範囲 測定雰囲気
マテック社製超音波音速測定装置 MBS8000型 −180〜1100℃ 不活性ガス(Ar)フロー中



RITEC製超音波測定装置 RPR4000型

測定装置 測定温度範囲 測定雰囲気
RITEC製バースト波音速測定装置 
RPR4000型
−180〜1100℃ 不活性ガス(Ar)フロー中



一方凝固(DS)合金の高温弾性測定
ガスタービン動翼材に用いられる材料には、高温クリープ性を向上させた一方凝固合金(DS)合金や単結晶合金が用いられています。
また、動翼の設計にあたっては、材料の高温弾性係数の実測値を用いることが不可欠です。
これらの材料はどれも異方性を持ち、弾性率測定で紹介した共振法と超音波法では得られた数値に差が見られます。
そこで、超音波法における結晶方向のずれを結晶方位関数(ODF関数)を用いて補正したところ、補正前に比べ、共振法での値との整合性が得られました。
このことから、超音波法でも実際の製品の結晶方向での弾性率が測定でき、弾性率やポアソン比が同時に求められる為、製品の強度計算への適用が可能と考えられます。

参考文献
桜井・白川:第31回ガスタービン学会定期講演会講演論文集,(2003)pp.265〜269
(社)日本ガスタービン学会,(社)日本機械学会

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