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日本の鍛冶の技術論

日本の鍛冶の技術論



永田和宏

2023年7月20日 初版1刷
ISBN 978-4-86707-013-0 C3057
発行 アグネ技術センター
A5判・並製/ 288頁
定価 3,080円(本体価格 2,800円+税 10%)

→厚さ:15 mm,重さ:430 g

■日本の鍛冶の特徴は,たたら製鉄で造った 鋼塊(ヒ=けら)を錬ることにある.これを鍛錬という.鋼塊を潰し,積み重ねて藁灰と泥を塗し,真赤に加熱して打つと互いに面が溶接する.これを延して折り曲げ溶接する.刃物は4,5回鍛錬する.
■なぜこのように簡単に鍛接面を溶接できるのか.計測器もない1500年も前の時代に何を指標にして鍛接作業を行ったのだろうか.その指標は,炎の中に生じる白い火花「沸き花」である.鍛錬した鋼は錆び難く,刃物の地肌に模様を生み出す.
■これらのことを筆者の鍛冶体験を通して明らかにする.本書は,一般の人が砂鉄から作ったヒを使って作品を作製するための鍛冶の入門書である.

[目次]

はじめに

第1章 鍛冶体験と道具
 1-1 包丁つくりツアー
 1-2 鍛冶工房
 1-3 道具
 1-4 木炭と融剤

第2章 銑とヒ
 2-1 銑とヒの処理
 2-2 鋼の分類と玉鋼の性質
 2-3 小型たたら炉によるヒの状態
 2-4 和鋼の取扱い方法  2-5 玉潰し
 2-6 炭素濃度の見分け方

第3章 和鉄のリサイクル−卸し鉄
 3-1 和鉄のリサイクル
 3-2 俵國一の実験
 3-3 永田式卸し鉄法
 3-4 鉄塊の溶融機構
 3-5 卸し鉄の炭素濃度の調整
 3-6 羽口下の炉底の深さの影響

第4章 手子棒と手子台
 4-1 手子棒作り
 4-2 手子台作り
 4-3 手子棒直し

第5章 鍛錬
 5-1 積沸し鍛錬
 5-2 折返し鍛錬
 5-3 鍛錬の効果と回数および仕上げ
 5-4 ふくれの生成と対策
 5-5 地肌の生成
 5-6 その他の鍛錬法

第6章 造り込みと素延べおよび火造り
 6-1 造り込み
 6-2 沸し延しと素延べ
 6-3 鋩子沸しと火造り
 6-4 鉄は熱いうちに打て
 6-5 鍛冶は体で覚える

第7章 焼入れ
 7-1 焼刃土と土置き
 7-2 焼入れ
 7-3 焼戻しと歪取り
 7-4 焼入れで現れる模様
 7-5 焼鈍し材の金属組織
 7-6 焼入れ材の金属組織
 7-7 冷却速度と析出する結晶組織

第8章 研ぎ
 8-1 研ぎの目的
 8-2 仕事場と道具および研ぎ方
 8-3 砥石の種類と研磨
 8-4 砥石による研磨の原理

第9章 切り出しナイフ作り
 9-1 構造
 9-2 材料
 9-3 鍛接
 9-4 火造り
 9-5 焼鈍しと表面研磨
 9-6 土置きと焼入れおよび焼戻し
 9-7 研ぎ

第10章 包丁の製造
 10-1 打ち刃物
 10-2 刃物の材料
 10-3 包丁の構造
 10-4 包丁の製造
 10-5 研ぎと切れ味

第11章 日本刀の作製
 11-1 日本刀の大きさと形
 11-2 日本刀の製作工程
 11-3 皮鉄作り
 11-4 心鉄作り
 11-5 造り込み
 11-6 沸し延しと素延べ
 11-7 火造り
 11-8 刀の研ぎ
 11-9 日本刀の研ぎ面の模様と鍛錬組織
 11-10 剣刀秘実と剣工秘伝志における造り込み
 11-11 古文書に見る刀の鍛錬法

第12章 鋸の製造
 12-1 鋸の形状と名称
 12-2 鋸の材質
 12-3 鋸の製造
 12-4 鋸の焼入れの原理
 12-5 ノコ身の硬さ
 12-6 鋸製造の機械化

第13章 刃物の切れ味
 13-1 打撃中心
 13-2 反りと切れ込み深さ
 13-3 刃物の形状と切れ味

第14章 和銑の脱炭と包丁鉄
 14-1 大工渡部平助
 14-2 大鍛冶の原料と木炭
 14-3 大鍛冶の作業場
 14-4 操業
 14-5 左下鉄・下し鉄・包丁鉄の状態
 14-6 脱炭はどのように起こるか
 14-7 散水と炉床の含水および溶鋼撹拌の効果

第15章 洋鉄
 15-1 洋鉄とは何か
 15-2 洋鉄の成分組成と介在物
 15-3 洋鉄の使い方
 15-4 洋鉄の製造方法
 15-5 洋鉄と和鉄の流通
第16章 錬鉄と溶鋼
 16-1 洋鉄の分類
 16-2 木炭錬鉄の製造
 16-3 パドル法による錬鉄の製造
 16-4 ルツボ鋼の製造
 16-5 ベッセマー転炉鋼とトーマス転炉鋼の製造
 16-6 平炉製鋼法
 16-7 1870年から1900年のヨーロッパの製鉄事情
 16-8 明治期の日本の製鉄事情

第17章 銑の溶融
 17-1 こしき炉の歴史
 17-2 明治期までの銑の溶融
 17-3 現代のこしき炉による鋳鉄の溶融
 17-4 永田式木炭燃焼型こしき炉
 17-5 銑鉄の溶融機構
 17-6 明治期までのこしき炉と現代のこしき炉の違い

第18章 鍛接と沸き花
 18-1 沸き花は鉄溶融の指標
 18-2 鍛錬中の鋼材の温度と酸素分圧の変化
 18-3 加熱中の炎の色の変化
 18-4 沸き花の発生
 18-5 なぜ鍛接できるか

第19章 和鉄はなぜ錆び難いのか
 19-1 錆び難い和鉄
 19-2 和釘中の過飽和固溶酸素濃度
 19-3 過飽和固溶酸素の成因
 19-4 黒錆層の形成に及ぼす過飽和固溶酸素の影響

第20章 伝統技術の伝承
 20-1 伝統技術とコツ
 20-2 暗黙知の技術伝承
 20-3 全日本刀匠会の研修会
 20-4 文化庁の研修会
 20-5 審査の判定基準
 20-6 伝統技術の伝承
 20-7 幕末から明治期におけるわが国の技術伝承
 20-8 鍛冶技術の伝承
 20-9 明治期の製鉄所における技術教育
 20-10 ドイツの職業訓練制度

付録
 1. 焼刃土の厚さと冷却速度
 2. 日本刀の反りと刃稜の角度の関係
 3. 酸素分圧測定法
 4. 鍛接界面の温度上昇

おわりに
参考文献
索引





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