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琵琶湖集水域の環境メタロミクス

琵琶湖集水域の環境メタロミクス



原田英美子 編

2024年8月10日 初版1刷
ISBN 978-4-86707-018-5 C3040
発行 アグネ技術センター
A5判・並製/ 320頁
定価 3,960円(本体価格 3,600円+税 10%)

→厚さ:15 mm,重さ:480 g



「メタロミクス」とは生体を構成する元素、とくに微量金属元素の機能と役割を体系的に解明する学問領域である。本書は、琵琶湖と金属をテーマに、元素の動態と集積を切り口として、水域環境と生物多様性に関する最新の研究成果を湖沼研究の現場に近い研究者がオムニバス形式で執筆している。
フィールドワークをベースとし、分析化学、環境科学の最前線の手法や知見を包括した内容となっている。


[目次]

 はじめに
 本書の構成

 第1章 メタロミクスとは
 第1節 メタロミクスと琵琶湖の水理現象(原田 英美子)
  メタロミクス―元素の挙動から生命と地球環境を理解する―
  琵琶湖の概要と特徴
  琵琶湖の水温躍層と全層循環
  湖底環境や生物相と金属の動態―貧酸素化の影響―
  琵琶湖集水域の環境メタロミクス

 第2章 美味しいメタロミクス
 第1節 耳石の微量元素組成・安定同位体比を用いたビワマス回遊履歴推定(天野 洋典)
  はじめに
  耳石の特性と魚類生態研究への活用方法
  ビワマスの生活史と回遊特性
  ビワマスにおける耳石元素組成の回遊履歴指標としての有用性
  耳石の母川指標によるビワマスの母川判別
  おわりに

 第2節 X線吸収微細構造(XAFS)分光法による琵琶湖産シジミの殻皮に含まれる微量元素の化学形態と局所構造の解明(竹本 邦子)
  琵琶湖のシジミの現状
  シジミの貝殻の色
  XAFS
  試料の準備
  蛍光X線収量法によるXAFSと蛍光X線分析による元素マッピング
  実験結果
  Feと黒色化
  まとめ

 第3節 滋賀県の伝統食材「姉川クラゲ(イシクラゲ)」(玉井 鉄宗・古本 強・朝見 祐也・坂梨 健太)
  イシクラゲとは?
  研究対象としてのイシクラゲ
  食材としてのイシクラゲ
  農作物としての姫川クラゲ
  自生環境の調査
  最重要元素「カルシウム」
  細胞レベルでの培養条件の最適化
  個体レベルでの栽培条件の最適化
  姉川クラゲの可能性

 第3章 植物の潜在力を知るメタロミクス
 第1節 琵琶湖に過剰繁茂する水草の管理と有効利用:水草が濃縮した溶存無機塩類が微細藻と野菜を育てる(伴 修平・リュウ キン・畑 直樹)
  はじめに
  メタン発酵消化液を使った微細藻類培養
  紫外線(UV)を用いたMg利用可能性の促進
  メタン発酵消化液を用いた野菜の養液栽培
  メタン発酵消化液の改質工程
  メタン発酵消化液の無機成分組成
  メタン発酵消化液の肥料特性

 第2節 琵琶湖岸の希少植物タチスズシロソウ―環境要因が個体数に与える影響―(吉山 浩平・小野 夏実・宮村 弘・河邊 昭・原田 英美子)
  琵琶湖の海浜植物
  タチスズシロソウの分布および個体数
  タチスズシロソウの個体を決める要因―重金属耐性・集積性との関連―
  野外環境中の人工物に由来する金属が植生に与える影響
  まとめ

 第3節 アオバナの青色色素の構造と産業利用(武田 幸作・原田 英美子)
  アオバナとは
  加賀友禅工房での青花紙の利用
  アオバナの青色色素の研究歴史
  アオバナの青色色素コンメリニンの構造

 第4節 伊吹山のヨモギと黒色火薬の生産(飯村 康夫・水野 髟カ・原田 英美子)
  伊吹山のヨモギ
  土壌微生物を利用した火薬の製造
  カリウム資源としてのヨモギのポテンシャル
  補足

 第4章 生物が作り出す鉱物とメタロミクス
 第1節 琵琶湖パール―海水産と淡水産の真珠の比較―(鈴木 道生・佐野 聡哉・淡路 雅彦)
  淡水真珠と海水真珠の収穫量の比較
  淡水真珠と海水真珠で使われる貝類種の比較
  淡水真珠,海水真珠の養殖方法
  淡水真珠,海水真珠の微細構造
  淡水真珠,海水真珠内の有機分子
  まとめ

 第2節 水生植物の金属集積―植物に微生物が作用して鉱物ができる現象―(奥井 啓介・原田 英美子)
  重金属を集積する植物―陸生植物での研究―
  水生の重金属集積植物―琵琶湖水圏でのスクリーニング―
  湿式分解による有機物の分解と金属濃度の測定
  金属元素の吸収と蓄積機構の検討
  マンガン酸化細菌の酸化機構
  植物に微生物が作用して生じる鉱物―オンネトーと高師小僧―
   オンネトー湯の滝マンガン酸化物生成地
   高師小僧
  まとめ

 第3節 琵琶湖深層部のマンガン酸化物構造体メタロゲニウム(古田 世子)
  メタロゲニウムとは
  琵琶湖深層部の試料採取と環境分析
  メタロゲニウム産生に関与するマンガン酸化細菌
  メタロゲニウム産生と植物プランクトン
  まとめ

 第5章 見えないものを見るメタロミクス
 第1節 環境科学研究への放射光蛍光X線分析の応用(保倉 明子・原田 英美子)
  X線と分析化学
  国内の放射光施設
  放射光蛍光X線分析を利用した元素のイメージング―オオカナダモのセシウム吸収―
  オオカナダモに集積するマンガン酸化物の分析
  まとめ

 第2節 琵琶湖と流入河川における溶存態鉄の存在形態(丸尾 雅啓)
  鉄の地球化学的背景
  鉄の酸化数と錯生成
  琵琶湖の鉄測定のための準備と現場操作
  鉄の実測結果
  水中の鉄はFe(V)?Fe(U)?

 第3節 琵琶湖湖底の低酸素化にともなう有害元素の動態変化と生物への影響(板井 啓明)
  琵琶湖湖底の低酸素化と金属溶出
  湖沼におけるマンガン・ヒ素の地球化学的動態
  2007年に発生したイサザの大量へい死とマンガン・ヒ素曝露
   (i)大量へい死個体におけるマンガン・ヒ素の組織別分布解析
   (ii)各組織中のマンガン・ヒ素の化学形態分析
   (iii)死亡個体の浸漬試験
  2020年の無酸素化とMn,As溶出
  おわりに

 第4節 琵琶湖湖底における底生動物の炭素・窒素・硫黄安定同位体比(大西 雄二)
  はじめに
  底生動物が依存している一次生産者
  安定同位体比とは
  安定同位体比を用いた食物網構造解析
  動物の安定同位体比測定方法
  琵琶湖深底部に生息する底生動物の栄養源
  琵琶湖沿岸部に生息する底生動物の栄養源
  底生動物の同位体比を用いた人間活動の影響評価
  まとめ

 第5節 生態系においてセレン循環を駆動する微生物(越智 杏奈・井上 真男・青野 陸・三原 久明)
  はじめに
  環境微生物によるセレン代謝
  我々が排出したセレンはどこに行くのか?
  TMSe分解の犯人を探せ!
  TMSe資化性細菌の単離
   (i)寒天平板培地による単離
   (ii)TMSe消費量による選抜
   (iii)TMSe単一炭素源での生育試験と単離培養
  分離株の性状と新種の可能性
  まとめ

 第6章 古の琵琶湖をたどるメタロミクス
 第1節 化石と元素,琵琶湖地域の化石を振り返る(高橋 啓一)
  琵琶湖周辺の化石包含層
  化石のでき方
  化石の研究
  おわりに

 第2節 琵琶湖湖底に横たわる過去43万年間の粘土堆積物層の無機化学組成(豊田 和弘)
  琵琶湖の特殊性
  優れた過去の環境変動の記録媒体
  琵琶湖1400 mコアに関する昔話
  中性子放射化分析とは
  風化に強い元素群の間の含有量化
  古水深の指標
  さいごに

 第3節 元素から見た琵琶湖周辺の中生代花崗岩とカルデラ火山(多賀 優・貴治 康夫)
  はじめに
  琵琶湖周辺の花崗岩と火山(カルデラ)
  琵琶湖周辺の花崗岩中の元素
  花崗岩の分類と金属鉱床
  年代の測定法と元素
  琵琶湖周辺の花崗岩類の年代
  おわりに

 第4節 X線CT撮影の文化財利用(佐藤 亜聖・山口 繁生・村田 裕介)
  はじめに
  X線CT撮影
  大津市中畑田遺跡出土銭貨の分析
  火葬蔵骨器の調査
  おわりに

  初出文献
  研究助成金
  著者略歴(五十音順)
  索引

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