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準結晶の不思議な構造 ―アルスの森を散歩して―
平賀ッ二 著
2003年3月20日 初版1刷
ISBN 978-4-901496-03-2 C3043
発行 アグネ技術センター
B5判・並製/ 180頁
定価 ―――(本体価格2,400円+税)
→厚さ:19mm,重さ:550g
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準結晶と呼ばれる、5回回転対称の回折パターンを示す物質が、なぜ筆者を含め多くの研究者を夢中にさせているのだろうか。それには、黄金比という魅力に富んだ無理数が関係していることが大きい。“黄金比病”とも呼ばれ、取り憑かれた人々を夢中にさせる黄金比には、それに関係した規則あるいは性質を詳しく調べれば調べるほど新たな発見があり、人々に留まることのない発見の喜びをもたらしてくれる。…
しかし、黄金比に関係した基本の美しい性質を楽しんでいるうちはよいが、実際の準結晶の構造に触れていくと、やはり現実は夢見ていたほどに美しくはない。これが準結晶研究の本質であるが、また、理想から離れた現実の準結晶の性質にもきらりと心を打つ多くの宝物が隠されている。これらの発見を求めながらほぼ17年が経ってしまったのである。(本文から) |
[目次]
はじめに
第1章 黄金比の幾何学
1.1 対称
1.2 多角形タイル張りと回転対称
1.3 正多角形の中の無理数
1.4 黄金比と黄金分割
1.5 黄金比に関係した多角形
1.6 正多面体
1.7 剛体球の充填配列と正多面体
1.8 正20面体および正12面体と黄金比
1.9 正20面体対称の多面体
1.10 黄金正3角形の多面体
1.11 黄金ダイヤの多面体
参考文献
第2章 準周期格子
2.1 フィボナッチの配列
2.2 2次元周期格子の投影とフィボナッチの配列(1次元準周期配列)
2.3 ペンローズ格子(2次元準周期格子)
2.4 投影法によるペンローズ格子
2.5 2次元準周期規則格子
2.6 3次元ペンローズ格子
2.7 ランダムフェイゾン歪
2.8 リニアーフェイゾン歪と周期格子
参考文献
第3章 回折パターンから見た準結晶
3.1 準結晶とは
3.2 正20面体準結晶
3.3 2次元準結晶
3.4 種々2次元準結晶と1次元準結晶
3.5 電子回折パターンから見た準結晶の規則性
3.6 近似結晶の回折パターン
参考文献
第4章 高分解能電子顕微鏡像から見た準結晶
4.1 準結晶の高分解能格子像
4.2 正20面体準結晶の格子欠陥
4.3 準結晶の高分解能構造像
参考文献
第5章 2次元準結晶と近似結晶相の構造
5.1 基本の原子配列
5.2 カラム状原子クラスターの骨格
5.3 0.4nm および 0.8nm周期の2次元準結晶と近似結晶
5.4 1.2nm 周期の正10角形準結晶と近似結晶
5.5 1.6nm 周期の正10角形準結晶と近似結晶
5.6 2次元準結晶の構造
参考文献
第6章 正20面体準結晶と近似結晶の構造
6.1 正20面体準結晶の近似結晶
6.2 正20面体対称の原子クラスターの原子充填配列
6.3 P-型正20面体準結晶の近似結晶
6.4 3次元ペンローズ格子の12配位サイト
6.5 F-型正20面体準結晶の近似結晶
6.6 正20面体準結晶と近似結晶
6.7 正20面体準結晶の構造
参考文献
付録
F.1 試料作製法と合金試料
F.2 実験手法
F.3 多面体の製作
索引
ティータイム
0.1:サイエンスとアート
1.1:ウニの殻
1.2:黄金比と美
1.3:現代の美人を示す無理数,白金比
1.4:5点星(pentagram)
1.5:定規とコンパスによる黄金分割,黄金長方形,正5角形の作図
1.6:黄金比は“数学のなかの民話”である。
1.7:多面体の製作
1.8:球による構造のモデルの構築
1.9:メランコリアTの多面体
2.1:フィボナッチの配列の作り方
2.2:ペンローズパターンと数学ゲームの課題
2.3:高次元結晶
2.4:準周期格子とその近似周期格子
3.1:結晶の中の5回回転対称(多重双晶粒子)
4.1:準結晶研究の発端
4.2:準結晶の高分解能電子顕微鏡観察
4.3:高分解能電子顕微鏡
5.1:X線回折法と高分解能電子顕微鏡法
5.2:電子顕微鏡像の解釈の難しさ
6.1:Al12Mn型およびα-(AlMnSi)型構造と黄金8面体
6.2:正12面体と立方体
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